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ウネウネスリーツーワン 全てフィクションです。 相互リンクを、募集してみたり.... nixi(ニクシィ)やってます。リンクからどぞ。
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 綾子は、気づいていた。
その視線に。
数日前から執拗に向けられる視線。

磨かれたエレベーターの扉、棚に並べてある調味料、ふと横を見たときに目に入る窓ガラス。

覗く瞳は、ただ綾子を見つめ続ける。
感情のないうつろな視線。

停車したバイクのサイドミラー、銀色のスプーン、電気のおちた携帯電話の画面。

視線を交えることは出来ない。視線の元にあるあるモノを見ることは出来ない。
その視線は、ほんの一瞬の間だけ綾子を捉える。

綾子は、小さく溜息をついた。

「気にしてもしょうがない」

小さく声に出すと幾分か気が楽になる。
幼い初恋の時、好いた少年が、いつも一瞬だけ目が合うと、気恥ずかしげにそらす彼が、私のことをいつも見ているのだと感じていた。
それはただの思いこみで、自分が彼を見つめていただけだと、懐かしい夕焼けの校舎裏で気づかされるまで私は、彼の視線を感じ続けていたのだ。

今度の視線も結局の所、私の気のせいなのかもしれない。
本当に視線が存在しても、私が見ようとするから、ソレも私を見ようとするのかもしれない。・・・・・・あの時の彼のように。

綾子は、鏡に向かって大げさに満面の笑みを浮かべる。今日は、思いっきりお洒落をして、街に出よう。ほしかった服を買って、話題のイタリアンを食べよう。
きっと良い気分転換になるだろう。

街を歩く綾子。

街角のウィンドウに目をやる。
お気に入りの服に身を包んだ自分が写る。やっぱり、今日はこの服で正解だった。颯爽と歩く自分に満足げな表情を浮かべ、視線を前に戻す。

後ろで小さく女の叫び声がした。後ろを振り返ろうかと一瞬迷ったが、やめることにした。大方、道路のくぼみにつまずきでもしたのだろう。なにより、今日は人に構ってなどいられない。自分のために過ごす一日なのだ。

綾子は、点滅しはじめた信号に気づき、足早に去っていった。

「ちょっとどうしたの、いおり?虫でもいた?」

綾子の後ろを歩いていた女が声をかけると、いおりと呼ばれた少女は、息を詰まらせるように話し始める。

「いまさ・・・・・・前を歩いてた人いたじゃない。」

「うん。それがどうしたの?」

「ウィンドウに写ってたよね?」

「さぁ?見てないけど・・・・・ここ歩いてたなら写るんじゃない?どうしたのよ。ズボンのチャックでも空いてた?」

「ん・・・・・・なんかさ・・・ウィンドウに写った姿がさ、一瞬遅れたみたいに動いた気がして・・・・・・」

話を聞いた女が軽快に笑う。

「そんなことあるわけないじゃない。怪談には時期ずれすぎでしょ。」

曖昧な笑顔を見せるいおりの手をもどかしそうに引く。

「あ、あのコートかわいい!あの店いこ!!」

いおりは、行くからひっぱらないでと、声を上げながらチラリとバックの金具を見た。
一瞬だけ、視線を感じたような気がして・・・・・・

覗き見る影 終



ブログランクーモーラ

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小説というか、なんというか・・・

-----

管理人 > take さんが入室しました。

take > ばんは~。
 
take >誰もいない?

take >誰か入ってきてよ~
 
管理人 >じゃむ さんが入室しました。

take >おちよっかな・・・

take > おっ^^ 

じゃむ  >こんばんは。
 
take >どもーノシ
 
じゃむ >はじめまして。
 
take >よろしくー。何歳なん??
 
じゃむ >えーっと、 18歳かな?takeさんは?

take >なぜ疑問系??w俺は、21だよ 

じゃむ >心は永遠だからw歳近いねー。

take >ホントは、3、40代だなw 

じゃむ >(’A’)

take >^^

take >どこに住んでるん??
 
じゃむ >どこだと思う?

take >なんだそれw標準語使用??

じゃむ >うん。そだよー。

take >じゃあ、横浜だしょ

take >だ→で

じゃむ >はずれ~。
 
じゃむ >w
 
take >東京!!
 
じゃむ >ブブー。
 
take >大阪??
 
じゃむ >標準語圏じゃないじゃんw
 
take > いやー人口多いところあげれば当たるかと

take >^^

take >で、どこなん??

じゃむ  >知りたい?
 
take >焦らすねーw
 
じゃむ >どSですからw
 
じゃむ >*^^*
 
take >教えてください!!女王様><

じゃむ >ヨシヨシ教えて進ぜよう。 

take >^^

じゃむ >あ 

take >?

じゃむ >の

じゃむ >世
 
じゃむ >です。

take >えーっと。電波さん??^^;

じゃむ >ちがうよー。

take >いやいや。本当はどこなん??

じゃむ >ま、信じてくれなくてもいいけどねー。
 
じゃむ >チャットやるのに住んでる場所なんて関係ないしw
 
take >そりゃそうだけど・・・女性はミステリアスですなw
 
じゃむ >^^
 
take >じゃさ、じゃむは、なんで死んだの??
 
じゃむ >それは、
 
じゃむ >すごく難しい問題。

take >そう??

じゃむ >takeが、なんで生きてるのって聞かれたらなんて答える?

take >んーむずいな。なんとなく??

take >^^;

じゃむ >同じ質問なんだよ。あたしにとっては。
 
take >そんなもんか??まぁいいや

じゃむ >^^
 
take >んじゃあ、死因は??あ、俺は、母親の股間から生産されましたが

じゃむ >www

じゃむ >死因は、ずばり空襲です。 爆死です。

take >3,40代ですらないなwおばあちゃんやんw

じゃむ >女性に向かっておばあちゃんとは(プンプン

take >苦しかった?

じゃむ >ん~よく覚えてないんだよね。

take >すっげぇ衝撃的な出来事なのにw

じゃむ >生まれてきたときの苦痛をあなたは、覚えているのか。

take >どうした急にw

じゃむ >同じくらい衝撃的じゃない?
 
じゃむ >w
 
take >なるほどー
 
take >じゃさ、普段って何してるの?昼間とか
 
じゃむ >質問多いなー。
 
take > 滅多にない機会だしw

take >^^

じゃむ  >^^
  
じゃむ >昼間はねー、日の出が近づくと、自分が消えるみたいな感覚。
  
take >寝てるみたいな??

じゃむ >んーちょっと違うかなぁ。

じゃむ >もっと深いかんじ。

take >?

じゃむ >生きてる人の感覚でいうと、

じゃむ >睡眠薬のんで寝る?強制力が強い。
 
じゃむ >感覚的には、毎朝死んで、また日の入りに生まれ変わる感じ。

take >生まれ変わるねぇ。恐怖はあるの??毎朝死ぬ事に。

じゃむ >ある意味。

じゃむ >夜寝るときさ、明日、自分は目覚めるのかって考えたことない?
 
take >あるあるw

じゃむ >そういう自分の意識が消えるかもしれないって事へ恐怖は

じゃむ >なきにしもあらず
 
take >w
 
じゃむ >でも、消えたくないっていう執着心はない、かな。
 
take >難しい・・・orz
 
じゃむ >死ぬのは、怖いけど、命に執着はないってかんじかな?
 
take >中学生ファンタジックみたいだなw

じゃむ >w次の夜、目覚めたときの幸福感はすごい。

take >んー

じゃむ >生まれる事って、それ自体が幸福なんだと思う。

じゃむ  >昨日、見たはずのモノも、
  
じゃむ >生きているときに知っていただろう事も、全て新鮮に感じられる。
  
take >ほー

じゃむ >どんな出来事もまぶしくて、素敵。それが味わえなくなるのは嫌。

じゃむ >だから、朝が嫌いになる。

take >なんていうかさ、

じゃむ >?

take >ある意味、いきてるよね。

じゃむ >ある意味?

take >充実した日々、存在したいという欲求
 
take >それがない俺に比べたら、生きてると思う
 
take >俺は、そっちの世界に憧れる。生きてる実感って魅力的だよ、やっぱり
 
じゃむ >takeは、生きてる実感ないの?
 
take >変わらない毎日って単調だよ。上京してきて目新しいと思ったことも、もう見慣れた

じゃむ >んー

take >単調な毎日が嫌で上京したはずなのに、おかしいよなー

take >このまま生き続けることがつらい 

take >でも、死ぬのは怖いし、死にたくない、みたいな

じゃむ >んーそれは、少し違う。

じゃむ >毎日、新しく感じるのは、確かに、素晴らしいこと。 すごく好き。

じゃむ >でもね、それは、停滞し続けるって事なの。

じゃむ >さっきさ、私は、18歳っていったじゃん。

take >うん。

じゃむ >本当にそのとおりなの。もし、生きてたらしわくちゃのおばあちゃんになってて

じゃむ >漠然としてるけど、
 
take >うん 

じゃむ >きっと、もっと大人になってたと思う。

take >若いのは、心が自由ってことでいいんじゃない??

じゃむ >18歳の私は、こうなりたいって思う気持ちを持ってた。

じゃむ >でも、今の私は、昨日を糧にすることができないから

じゃむ >どんなにがんばっても、どうしよもない。

take >・・・

じゃむ >何も望みなんかしなくなる

じゃむ >ただ、周りの動きにみとれるてただようだけ。

じゃむ >これが、本当に生きている事だと思うのは、

じゃむ >たぶん、間違ってる。

take >なんか、皮肉だね

take >ありあまる時間があるのに、なにも出来ない

じゃむ >うん。って、まじめに語りすぎたw

take >w

じゃむ >さぁ、なんか明るい話題を。

take >なんで、パソコンできるん??

じゃむ >それかいw

take >出会ったときから疑問に思っていましたw

じゃむ >・・・本当に、今、あなたは、チャットを通じて私と話してると思う?

take >は^^;??

じゃむ >今、あなたがみている画面は、現実?

じゃむ >私ね、今あなたにすごく近いところにいる

take >・・・

じゃむ >今、一緒の部屋にいる 

じゃむ >あなたの指が、私の言葉もタイピングしてる

じゃむ >証拠ある。パソコンみてよ。ネットになんかつながってないでしょ?

take >・・・ 

take >残念wネットにつながってますw

じゃむ >w 

じゃむ >ゾクっとした?

take >ちょいねw

じゃむ >あれじゃん?霊ってプラズマ的ななんかでできるんでしょwだから、出来るんじゃんw

take >あいまいだなー

じゃむ >私が生きてる時にはそんなこと学べなかったのよ

take >今でも学べないけどね。死んでからどうやってネットやるのかって^^

じゃむ >w

take >さて、夜も遅いし、寝るかなー

じゃむ >そだね。単調な毎日を生きるためにがんばりたまえ^^ 

take >おう。おやすみ。またはなせたらいいな^^

じゃむ >機会があったら^^じゃねー 

管理人 > take さんが退室しました。

-----
次の朝、目覚めると、なんとなくこの単調な毎日が、ほんの少しだけれど彩りを取り戻したような感覚に陥った。

ジリジリとうるさく鳴り響く目覚ましの音でさえ、体の感覚を確かめるために必要な物であると思える。俺は、忙しくネクタイをしめながら、ひらきっぱなしだったチャットのページをリロードした。

「じゃむ >どんなに充実した時間が待っていたとしても、
 じゃむ >あの時、肉体を持って生きることが出来る選択肢があったとしたら、
 じゃむ >私は、それを選んだと思う。
 じゃむ >今でも、
 じゃむ >死んだ今でも、生きたいと思ってしまう。
 じゃむ >望んでも、叶えられない世界のなかで、
 じゃむ >この望みだけは捨てることが出来ない。」

昨晩の流れに続き、そう書かれ後、回線が切断されたという情報が示されていた。
俺が落ちたあとも、他の参加者はいなかったらしい。
「あの電波具合だもんな」と、切断を示す記述の時間が夜明け間近であることを眺めながら俺は薄く笑った。

「手がこんでるな」

そう口にしながら、パソコンの電源を落とした。

さぁ、昨日を糧にした一日が始まる。
おはよう、色あせた日常。

今日も俺は、生きていく。

C H A T -了
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 あなたは、初めて恋をしたときの事を、覚えいるだろうか。

俺はと言えば、初恋なんて記憶の隅に追いやられた物にすぎなかった。
しかし、十年ぶりに偶然にも再会した、小学生時代の友人により、あの頃の記憶が鮮やかに思い出された。

 俺の初恋は、小二の夏祭りで突然訪れた。
日焼けした肌にショートカットのすらりとした、同じ歳の少女だ。

あの日、俺は悪友達と共に夏祭りの舞台である神社の裏を、引き金を引くと輪ゴムが飛ぶ仕掛けの、針金でできた拳銃をにぎり走り回っていた。

 物陰に身を隠しながら、敵を討つ。
合い言葉は「弾丸より速く!!」。あの時、流行っていた、ヒーローの決め台詞。

 自分と、ブラウン管の中のヒーローを重ね合わせ調子よく連射する俺の輪ゴムは、悪友の横を通り過ぎ、見知らぬ少女の頭に当たった。

驚き顔で振り向く少女の顔は、何故か、祭り御輿よりも輝いて見えた。

しかしそれも一瞬、彼女に向けて拳銃を構えたままの俺の様子を見ると、怒り顔で詰め寄ってきた彼女を相手に、「おとこおんな!!」などと、お決まりの言葉で口げんかに応戦していた幼い自分がひどく懐かしい。

二人の喧嘩がどうやって収束したのかはもう、記憶の彼方だがその後、彼女も俺達の仲間になった。

俺の小二の夏は、彼女無しには語れないほど一緒に遊びつくした。

悪友にも、彼女にも隠し通したが、初めて人を好きになるという気持ちを知った。

 夏休みを残り一週間程残したある日、彼女は、普段は隣県に住んでいて、夏休みの間だけ祖父母の家にいることを俺たちに明かした。

 あの頃、宇宙より遠く感じていた隣県。そんな遠くに行ってしまうのかと、涙が出そうになった。

彼女と会ったのは、それから2日後の秘密基地での作戦会議が最後だ。また、来年の夏休みに会おうと、俺と彼女は泣いて誓った。

その約束が守られることはなかった。

 しかし、昨日の出来事で色あせた記憶は、突然現実的な鮮やかさをもった思い出へと一変した。悪友の一人が彼女と大学で再会していたのだ。「お前のことも覚えてたぞ」という、言葉とともに彼女の連絡先を教えられた。

 俺は、部屋で一人になると携帯をいぢり簡単なメールを作成した。
なんともいえない気恥ずかしさに、一瞬戸惑いがあったものの、覚悟を決めて送信ボタンを押した。

「弾丸より速く。この想い届け」

自然に口からこぼれたあの時の合い言葉に思わず苦笑いを漏らした。
このメールをみた彼女は、またあの時のように輝く表情をしてくれるのだろうか。

弾丸より速く!!-了

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 先日、あまりに急いでいたため、社会のルールを破り、駅前に駐輪する私。

反逆のヒーローウメコ!!かっこいい!!ってね。

こういう事書くと、「あ、また犯罪ばらしてる馬鹿なやつがいるな」とか、「ちょっとこらしめてやるか」と、こう思う方もいると思うんですけど、いやもう、迷惑極まりなくて申し訳ない。平身低頭であやまりまくるしかないですけど、まぁ、世の中うまくできてますね。

悪いことは出来ないモノで、違法駐輪は、問答無用で強制撤去ですよ。
で、撤去されたことある人は知ってると思うんですけど、強制撤去されると「撤去しましたよ」ってなお知らせが書いてある紙が地面に貼り付けてあるんですよ。

それみて脱力してる私にマックの店員が、小さい紙コップに入ってるアイスコーヒー勧めてくるわけですよ。何事かと思ったら、キャンペーン中で仕事帰りの人にコーヒー振る舞うみたいなことしてるらしいんですよ。とりあえず、空気よめ。

で、そんなことはどうでもいいんですが、いやホント、あまりにもシカトされ続けるマックの店員に哀愁を観じて、思わずもらうも、コーヒー飲めなくて処理に困ったとかどうでもいいんですが、自転車撤去されたからには、取りに行かなきゃならないんですよ。

一駅はなれた一時保管所ってのが意外と遠いんですが、行きはバスで優雅に移動ですよ。 問題は帰りでしてね、行きの優雅さとはかけ離れて、気持ち悪いほどハァハァしながらチャリンコ走らせてたんですよ。なぜだか知らないんですが、山上るんですよ。で、やっぱり、上ったら下るわけですよ。

初夏を思わせる気温と、ほんの少し気になる湿気。
まとわりつくシャツの袖をまくり、ウメコは勢いよく地面を蹴った。
車輪は、次第にスピードをまし、軽やかに音を立てる。肌に感じる風はここちよく、少しづつ、自分が空気に、風にとけ込んでるかのような気分にさせる。
上がりすぎたスピードを、ゆるめるためにブレーキを握ると、不快な音が立つ。激しく悲鳴を上げる自転車に、爽やかな空気は切り裂かれ、夢心地から我に返る。

道、まちがえたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・orz

下ったばかりの道を上る。隠すことの出来ない先程より荒い息に、道行くおばさんは、畏敬の念を感じたのか道を譲ります。いや、もうね、一時保管所で罰金1500円払ったと思ったら、移動費って領収書だったりしたこととかどうでもよくなりましたね。「移動しなくて良いのに」って、思わずにはいられないとかどうでも良いですよ。

二度と違法駐輪はしないと堅く誓いましたね、私。違法駐輪は、立派な犯罪。ルールを守って住みよい社会。とか、標語を思い浮かべながら歩く私も、ついに最寄り駅に到着。給水所さながら笑顔で、コーヒーを差し出すマクドナルド店員。ぶん殴りそうになったし。割と、本気な感じで。

  ブログランクーモーラ



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41695.jpg


ID:MU7Ra9H6O ・作 イメージ画を描いて頂きました。 
W中の2ch「ホラー短編祭」というモノに参加しました。
見慣れていない方には、非常に見にくいタイプの文章ですが
更新滞りすぎなので・・・。 

※しばらくしたらラスト変更予定です。

( ^ω^)は愛こそすべてなようです
 
 昼過ぎから降り始めた雨は、次第に勢いを増す。上がる湿度は、一日の授業終了を告げる鐘でさえもひどく不快なモノに感じさせる。
 
( ^ω^)「んあー。やっと終わったおー」
 
続々と席を立つ生徒に紛れ、人の良さそうな顔をした少年は大きく伸びをしながら、友人に話しかけた。
 
( ^ω^)「こんな天気じゃ部活も休みだお。ドクオ、ショボン、マックにでもいくお」
 
携帯電話に視線を向けたままドクオは、答える。
 
('A`)「わるいな、ブーン。さっき渡辺さんと約束いれちまったんだ。また誘ってくれ」
 
そう言いながら鞄をつかむと、廊下に駆けだしていった。
 
( ゚ω゚)「どっくん待ってぇ。あたいを捨てないでぇぇぇぇ」
 
妙に芝居がかったブーンの叫び声は、むなしく響き渡り、ショボンと呼びかけられた少年が、見かねた様子で声をかけた。
 
(´・ω・`) 「まぁまぁ。ドクオは普段忙しいからさ、こんな時じゃないと渡辺さんといれないんだよ。僕がいるからいいじゃない」
( ^ω^)「・・・わかってるおw今日はショボンとランデブーに予定変更だおー」
(´・ω・`) 「うふふ。僕、お腹すいちゃったから早くいk・・・」
川゚ -゚) 「ショボンはいるか?」
                                           
ショボンが言葉を発し終えないうちに、教室に黒髪の美しい少女が入ってきた。
 
川゚ -゚) 「・・・ム・・・友達と一緒か」
 
その少女は一瞬ブーンに視線を向ける。
 
(´・ω・`) 「クー、どうしたんだい?」
川゚ -゚) 「いやなに、今日暇だったらちょっと付き合ってほしいと思ったんだが・・・どうやら、先約があるようだな」
 
クーと呼ばれた少女の瞳は、ほとんどくずれない表情とは対照的に、ひどく残念そうに瞬き、彼女の気持ちを物語っており、それがブーンの良心をチクチクと刺激した。
 
(´・ω・`) 「あ・・・ごめんね。今、ブーンと・・・」
( ^ω^)「ブーンはいいお。今日は、まっすぐ帰ることにするお」
(´・ω・`) 「え・・・でも・・・」
川゚ -゚) 「・・・いいのか?」
 
クーの瞳は明るく輝く。
 
( ^ω^)「気にするなお。ブーンは、そんなにヤボじゃないお」
(´・ω・`) 「あ、そうだ。ブーンも一緒に三人で・・・」
 
少女の瞳は陰る。
 
(; ^ω^)「い、いいんだお。そういえば今日は、カーチャンに早く帰ってこいって言われてたの思い出したお」
 
(´・ω・`) 「・・・ブーン、ごめんね。次は、絶対マックいこうね」
川゚ -゚) 「すまないな。ありがとう」
( ^ω^)「謝ることないお。ばいぶー」
 
ブーンは、一人家路についた。
ポツポツと雨に当たる音に紛れて、嫌でも下校中の生徒の笑い声が耳に入る。
 
( 'ω`)(みんな楽しそうだお・・・)
 
つい、ため息が漏れてしまう。
 
( 'ω`)(あぁあ。前は、良かったお。いっつも、三人で楽しくて・・・)
 
ブーンは、元来内気な性格である。そのためか、高校入学当初はなかなか友人が出来ずに少しづつ浮き始めていた。そんな時、話しかけてくれたのがドクオとショボンだ。
ドクオは少し影があり、ショボンは何を考えているのか分からない、そんな様子だから二人もクラスで浮いていた。
 
そんな三人は、クラスの不良達には嘲笑の的にされていたけれど、ブーンは別段気にしなかったし、他の二人も気にしていないようだった。なにより、自分が「余り」になることのない人間関係を築けたことがうれしかった。
 
しかし、ブーンにとっての転機は存外早くやってきた。
はじめの転機は、夏休みを目前に控えたある日だった。
校内に張られたテストの順位表のてっぺんには「ショボン」の名前が記された。
時、同じくして、ドクオは入学したての一年であるにもかかわらず、強豪と知られるサッカー部のレギュラーに抜擢された。
 
これらの出来事は、ブーン達自体の関係には何等、変化をもたらさなかったが、彼らに対する周りの視線を変えるには充分すぎるほどであった。
どこか影のあるスポーツ少年と、ミステリアスな秀才。こんな二人を周りがほうって置くはずはなく、彼らは一躍クラスの中心人物へと上り詰めていった。
 
それでも、やはり関係は変わらなかった。ブーンは多少の劣等感を刺激されはしたものの、傲ることなく付き合い続けてくれる彼らは、誰にも邪魔できない友情で結ばれた、唯一無二の存在であると信じて疑わなかった。
 
第二の転機は、夏休みの直後だ。
ドクオに彼女が出来た。他のクラスの女子だ。その子は、渡辺といいいつも和やかな雰囲気で可愛らしい少女だった。
普段から、部活で忙しいドクオが彼女と会えるのは、学校にいるときと、極たまにある練習のない日だけ。休み時間の彼の足は、自然と渡辺の元へと向いた。
 
ブーンとショボンは二人でいることが多くなった。
 
第三の転機は、今日だ。さらに細かくいうなら今日の放課後。
クーと呼ばれた少女が、ブーンは全く知らない少女が、ショボンに心を寄せているのは明らかだったし、ショボンの様子も満更ではなさそうだった。
 
( 'ω`)(やばいお・・・。ショボンも離れてっちゃったらブーンはまた、独りぼっちだお。・・・だめだお。こんな事考えて。友達の幸せを喜ばなくちゃ、でも・・・)
 
そんな沈んだ心とリンクするかのように雨脚が強まる中、ブーンようやく家にたどり着いた。
 
( 'ω`)(はぁ。考えても無駄だお。気晴らしにネットでもやるかお)
 
ブーンは、母親にただいまと声をかけると、自室へと歩みを進める。
 
パソコンの電源を入れるとブーンはマウスを操り、サクサクとお気に入りのサイトを回り、そうして30分程すぎた頃、ある掲示板で興味深い書き込みを見つけた。
 
『こんにちは。私は、高校三年生の女の子で、YUKIって言います。
最近、友達に彼氏が出来ました(;_;)そしたら彼氏いないこと馬鹿にされるように・・・^^;
そんな友達を少し見返したいなって☆笑
誰かメルカレから始めませんか?
同じくらいの歳の方、メール待ってます♪』
 
( 'ω`)(お・・)
( ゚ω゚)「フォーーー。そうだお!!これだお!!ブーンも彼女を作ればいいんだお!!そしたら、二人においていかれないお!!」
( ^ω^)「さっそくメール送るおー。えーっと、はじめましてっと・・・」
 
・・・
・・
 
 
('A`)「なんだってぇぇぇ!!ブーンに」
(´・ω・`)「彼女が」
( ^ω^)「出来たおー」
 
ホームルームが始まる前のざわついた教室内でも一際大きく三人の声は響いた。
 
('A`)「まじか!?どんな子だよ??同じ学校か??」
( ^ω^)「うはっwちがうお。でも、同い年の子だお。」
(´・ω・`)「ブーンったら僕らに何にも言わないんだもん。ビックリしちゃった。じゃあ、馴れ初めから聞こうか?」
( ^ω^)「うふふ。内緒だお。恥ずかしいおー。でも、二人には一番に話したかったんだお。おっと、 彼 女 からメールがきったお♪」
 
('A`)「おい、みせろ!!」
(´・ω・`)「あ、僕にもー」
( ^ω^)「やん♪見ちゃダメ♪♪」
 
キャイキャイとブーンの携帯を取り合う三人。ブーンの心は喜びに満たされた。メルカノとはいえ彼女がいると言うだけで昔のような三人に戻れたのだ。二人に小突かれながら、浮かれる気持ちでブーンはメールの返事を打ち始めた。
 
それからというモノ、ブーンとYUKIとのメールは劇的に増えていった。ブーンは初めのうちこそ、「惚気ている自分を見せることで、二人にからかってもらうため」にメールを交換し続けていたが、序々にYUKI自身の魅力に取り付かれていく、自分に気づき始めた。
そうなってからは、ブーンは四六時中YUKIからのメールを待ち続けるようになった。
 
(´・ω・`)「ブーン。最近どうしたの?」
( ^ω`)「どうしたって、なにがだお?」
 
ある朝、ブーンが登校すると、ショボンが話しかけてきた。
 
(´・ω・`)「なにがって・・・いっつも携帯気にしてるしさ。目も真っ赤だし・・・」
( ^ω`)「大丈夫だお。ユキからのメールが待ち遠しくて、ちょっと不眠症なだけだお。ラブラブでこまっちゃう♪」
(´・ω・`)「そうなんだ。・・・ねぇ、ユキちゃんってどんな子なの?」
( ^ω`)「なんだか照れるおー。ユキはちょっぴり素直じゃなくて、背も小さくて、華奢で守ってあげたくなるような子だお。顔は、学年一のアイドルのツンさんみたいな美人に決まってるお」
(;´・ω・`)「・・・決まってる?」
( ^ω`)「そう、決まってるお。きっと、ブーン好みの、白いワンピースなんか着ちゃって」
(;´・ω・`)「あの、ブーン。ユキちゃんとは会ったことないの?」
( ^ω`)「おっおっwショボンにばれちゃったおw会ったことはないお。でも、ブーンには、
わかるんだお。きっとユキとは前世からの付き合いで、ブーン達はずーっとつながってるんだお」
(;´・ω・`)「そ、そっか・・・」
( ^ω`)「そうだお。ふたりの間にはショボンだって入れないおwあ、またメールだお♪」
 
ピコピコとメールを打ち始めるブーン。ショボンは、難しそうな顔をしてブーンのそばを離れていった。
 
やがて、鐘が鳴り、一日が始まり、また鐘がなり一日が終わった。
 
( ^ω`)「二人とも、ばいぶー」
 
ブーンは、鐘が鳴り終わると同時に外に駆けだした。そんな様子を横目で見ながらドクオがショボンに話しかける。
 
 ('A`)「おい。ショボン。話って何だよ」
(´・ω・`)「ブーンのことなんだけどさ」
('A`)「ん?かまってもらえなくて焼き餅か?」
(´・ω・`)「ちがくてね、ブーン、ユキちゃんとは会ったことないみたいなんだよね」
('A`)「出会い系かなんかか?ブーンもやるな。って、まだ会ってないの?」
(´・ω・`)「なんかね、詳しくは分からないんだけど、今朝話したら、前世がなんだって話を始めて・・・」
(;'A`)「ぜんせ?」
(´・ω・`)「うん、前世。でね、かじっただけの知識だから、あれなんだけどさ、統合性失調症って知ってる?あれの症状に、そういう前世とかを強く信じちゃうっていうのもあるらしいんだ」
(;'A`)「・・・少しメールやりすぎだとは思っていたが」
(;´・ω・`)「うん。でも、まだ決まった訳じゃないし、少しだけ気をつけてあげようかなって思うんだ」
(;'A`)「あぁ、俺も協力するよ」
(;´・ω・`)「ありがとう。まずは様子をみよう」
 
ドクオとショボンは一応の結論にたどり着き別れた。
 
次の日、ブーンはニコニコと教室に入ると、ショボンとドクオに視線を送る。二人はそれに気づき、ブーンの元へと足を進めた。
 
( ^ω`)「うっふっふ~ん♪二人に聞かせたいことがあるんだお」
(;'A`)「おぉ。なんだよ」
( ^ω`)「実は、今日、ユキとデートなんだお」
(;´・ω・`)「き、今日!?突然だね!!今日のいつ頃!?」
( ^ω`)「出席とったら抜け出すお。帰りのホームルームにまた出席にかえってくるお」
(;'A`)(お、おいショボン。今いかせたら、ユキちゃんに危害がいく可能性が・・・)
(;´・ω・`)「ブーン、奇遇だね!!実はさっき僕たち、ブーンを誘って今日はゲーセンでサボろうかって話をしてたんだ。もちろん、行くよね??」
( ^ω`)「おー残念だお。今日はダメだおー」
(;'A`)「な、なんだよ、こいよ、付き合いわr」
( ゚ω`)「うるさいお!!ブーンの邪魔はさせないお!」
(;´・ω・`)「あ、あのね、僕たちブーンの邪魔をしようとしてるんじゃなくて、最近さブーン、僕たちに構ってくれなかったじゃない?だから、たまにh」
( ゚ω`)「構わなかったのはどっちだお!!ドクオは、彼女彼女で、ショボンもクーさんクーさん!!ブーンのことなんてお構いなし!!胸くそ悪いお!!出席なんかいらないお。今すぐユキの所へ行くお」
 
ブーンは、そう叫ぶと二人の制止をふりほどき外に駆けだしていった。
 
(;'A`)「ど、どうする?」
(;´・ω・`)「どうするも、何も、追わなきゃ!!」
 
二人は一瞬、顔を見合わせてから、走り出した。
 
どれくらい走っただろう。ブーンは駅前に着ていた。ユキと待ち合わせの場所。時間までは、まだ少しある。
 
( ゚ω`)「あーどんな子だろう。キットツンサンミタイニ、ビジンデ、チョッピリスナオジャナクテ、ソレカラ」
 
(;'A`)(;´・ω・`)「ブ、ブーン!!」
 
やっとのおもいで、追いついた二人はありったけの声を張り上げて叫ぶ。
 
( ゚ω`)「邪魔するなお!!」
 
ブーンも負けじと大声を上げる。ジリジリと近づくドクオとショボンに敵意の目を向け、今にも飛びかからんとしていた。
 
そんな中、ブーンの着信メロディが鳴り響く。
 
『メール着信、YUKI』
 
ビリビリとした空気を打ち破るかのような軽快なメロディにブーンは嬉嬉として顔をあげるとあたりを見回した。すこし離れたところに、携帯を握りしめる少女がいる。
 
( ゚ω`)「ユ、ユキ・・・?」
 
ブーンが走り寄る。
 
(   )「ブーンさん?」
 
( ゚ω`)「ユ、ユキ、じゃ、ない、お、ブーン、、の、ユキは、ツンサンミタイニ、ビジンデ、ソレカラ、、アァ、ソウカ、ニセモノめ、、ソウイエバガッコウに、イタオ、、ブーン、のユキ、、」
(   )「あ、あの、ブーンさんですよね?」
 
ブーンはまるで、発砲された弾丸のように走り出す。その様子に驚いたYUKIは、尻餅をついた。ドクオはそのままブーンを追い、ショボンは、YUKIに手を貸し、一礼すると、彼もまた走り始めた。後には、ぽかんと立ちすくむYUKIの姿だけが残った。
 
( ゚ω`)「ユ、ユキ!!」
 
授業中にもかかわらず勢いよく開く扉に、また、叫ぶ声に驚き、教室中の視線が集まる。
 
( ,,゚Д゚)「おい!!ブーン何やってんだ、ゴルァ」
 
教師が、まず怒鳴り声を上げる。
 
( ゚ω`)「ユ、ユキ!!探したお。やっと会えたお。あいたかったお。僕のユキ」
 
ブーンは、そんなモノおかまいなしに、フラフラと、教室内にはいると一人の少女を目指し歩いていく。
 
ξ;゚⊿゚)ξ「な、なに?私、ユキじゃにわよ。ツンよ!!」
 
ツンという美しい少女は怯えながらも言い返す。
 
( ゚ω`)「そんなはずないおユキだお。ユキユキユキ・・・」
ξ;゚⊿゚)ξ「や、やだ、何よ近づかないで!!」
( ゚ω`)「ちかづくな?ユキがそんなこというはずないお。お前、ニセモノかお?ユキをどこにやった!!!!」
 
ツンに飛びかかろうとしたところを、教室に走り込んできたドクオがブーンに体当たりをして防ぐ。
 
(;'A`)「みんな!!手伝ってくれ!!ブーンをおさえるんだ!!」
 
怯えながらも何人かの男子が手をかす。
 
( ゚ω`)「はなせお!!はなせぇ!!!邪魔するなぁぁぁぁぁ!!」
 
 
―――――――――
 
僕―ショボン―がやっとのことで教室に着いた頃、ブーンは体育教師に羽交い締めにされていた。
その日は、皆すぐに下校させられた。
 
 
 
ブーンはその後、学校に来ることはなかった。
僕とドクオは何となく一緒にいることはなくなった。
 
それから月日は流れ、僕たちは、この学校を卒業することになった。
 
('A`)「なぁ、ショボン」
 
久しぶりに話しかけてくるドクオの顔は、暗い。
 
(´・ω・`)「なんだい?」
('A`)「結局さ、ブーンがああなった原因って俺たちなのかな・・・」
(´・ω・`)「どうだろう。僕にはわからないや。でも、そんなことはないと思いたいけど・・・」
 
――( ゚ω`)「構わなかったのはどっちだお!!ドクオは、彼女彼女で、ショボンもクーさんク
ーさん!!ブーンのことなんてお構いなし!!」
 
多分、無理だろうという言葉を飲み込んだ。ただ、ドクオも同じ事を思っているのが伝わってくる。
 
('A`)「ブーン、まだでてこられないんだよな」
(´・ω・`)「うん。おばさんの話じゃ、長期になるって。」
('A`)「そっか」
(´・ω・`)「うん」
 
('A`)「じゃぁな」
(´・ω・`)「ばいばい」
 
それだけで別れた。昔とは変わってしまったけれど、僕は、僕たちにはまだ絆があると思っている。
僕たちの間には、友情という名の狂気の絆が。

( ^ω^)は愛こそすべてなようですー了
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